ベンチな子ども机の製作過程
どうして「ベンチ」な「子ども机」なのか
春に小学一年生になった男の子がテノ森のベンチでお絵かきに集中している。
テノ森でみた子どものそんな姿から色々考えてみました。
ロビーには高さ32cmのちゃぶ台があって、テノ森に来てくれる子どもたちの居場所となっています。お弁当を食べたり、お絵かきをして遊んだりします。
工作室には高さ40~45cmのベンチ。小学一年生ぐらいの子どもたちには鋸をひいたりお絵かきをするのに丁度いい高さです。
保育園へ行って子どものスケールで作られた家具や収納をみると、ちょうどいいサイズを魅力的に感じます。
自宅では成長する子どもにあわせて家具を揃えるより、成長に合わせて高さを調整できるものとも考えます。しかし、強度的にもデザイン・質感的にも良いものがなかなか見つからない。
そこで家具を選ぶ時に、ちゃぶ台やベンチや本棚を選ぶときに「小さな子どもが遊びや勉強、作業ができそうなもの」という視点を加えるのはどうでしょう?
ざっくりした寸法ですが、
ちゃぶ台は32cm、椅子・ベンチやローテーブルは40cm、50~60cmの高さで天板がしっかりしている本棚。そして最終的に高さが70cmの学習机。
子どもたちが自分の遊びやすい場所を自然に見つけて自分の遊びに集中できるように配慮する。
さて、テノ森は自分で作る工房ですから、その視点でベンチを考えてみました。
良質の木材で、シンプルな構造。子どもが「お絵かき」や「ままごと」「作業台」として使うことを意識して製作する。
シンプルなデザインの家具ほど長く使うことができると考えます。
引越しの事を考えて、組立式にしながらも充分な強度を持たせる。
方向性は決まりました、いよいよ製作開始です。
基本の大きさは、W1000×D350×H400mm
木材はホワイトオーク、座板の厚みは25〜28mmの仕上がり。
反り止めは頑丈に、旋盤加工した脚材。
小さなカバンをかけられる所をつくる
天板を製材しはぎ合わせる。
いきなり大型製材機を使用した工程になりますが、できなかったらかわりにやりますのでご安心ください。
続きは、すみません今日の講習会が始まるので作業工程については後ほど、
これからコマ作りです。
脚と反り止めの板を製材します。
脚は木工旋盤で加工しやすいように八角形にします。
脚を旋盤加工する前に胴付きの切り込みを入れておきます。
旋盤加工、ガガガガガとろくろ職人気分を味わいます。
後もう一本!ノギスで寸法を測りながらぴったりサイズを目指します。
左が普通のノミ、柄が長いのが旋盤用のバイト(刃物)です。
反り止めに脚を固定するための穴を開けます。このドリルビットはフォスタービット(座ぐりカッター)です。穴は二段になっています。
少し印象を軽くするために、反り止め材の両端は傾斜をつけてみました。脚の角度と天板(座板)に固定するためのネジが通る穴の角度が一緒になっています。
クサビ用の切り込みを入れて、クサビを作ります。
反り止めの中央の溝に、ヌキ材がはめ込まれます。
脚の丸ホゾをはめ込んで、クサビでガッチリ固定します。
クサビを打ち込む音が鈍い音からカンカンという音に変わったらO.K.です。
飛び出た余計な部分をのこぎりで切り落とします。
厚紙を敷き、反対側に木っ端を置く気も手も傷つきません。
上手に切れました!
トリマーで更に表面をフラットにします。手鉋でも平のみでもできます。
反り止めと、脚材の組み立て完了
ヌキの両端にモノをかけることが出来るようにします。
手加工でやさしい曲面にしてみました。
仮組みして、どんなふうに使えるか置いてみました。
紙やすりで表面を仕上げ、オイル塗装。
そしていよいよ組立です。
座り心地はどうかな?
下から覗き込むとこんな感じです。
構造がしっかりしていると安定感がありますね。
モノかけはこんな感じです。
それぞれの部材を受講された方がアレンジしていろいろな形ができそうです。
サンプルのサイズは、テノ森のテーブルに合わせて高さを45cmと高めにしています。自宅で使うなら38〜42cmくらいでしょうか。